2020年10月に京都オフィスで「Base-party」 という社内イベントが開催されました。開催のきっかけは、リモートワークが長期化する中で、新メンバーとの交流や、お互いに対面で話せる機会を作りたいという声が社内からあがったことです。しかし直前にトラブルが発生し「今回は中止にした方がいいのかもしれない。」と開催が危ぶまれることに。その中でも開催を決断した運営メンバーの大木さんにはどんな想いがあったのでしょうか。

同じ空間、同じ熱量を共有する体験を大切にしたい
社内イベントを企画した背景には、新型コロナウィルスの影響を受けて全社的にリモート勤務に体制が変わったことで、メンバー同士がお互いに状況を共有したり、考えをすり合わせる機会が減ってしまったことに課題を感じていたという理由があります。
例えば2020年6月に入社して入社初日からリモート勤務になった新メンバーが所属チーム以外と関わる機会がないまま働いていたり、企画側と開発側の認識合わせをする際にオンライン上では細かいニュアンスが伝わりきらずに苦労しているという話を聞いていました。
定期的にオンライン朝会を開き、チャットツール上で呼び掛けたらすぐに通話が出来る仕組みを導入していたのですが、長期化するにつれて今まで蓄積されてきた目には見えないコミュニケーションの貯金を切り崩しているような感覚があったんです。
特に新メンバーと実際に顔をあわせて会話をしたり、その人の持つ雰囲気を感じ取る機会が全くなかったので、なんとかしたいという気持ちが強くありました。一緒に仕事をする上で土台となる信頼関係を築くには相手のキャラクターや性格をある程度理解しておくことが欠かせないと思うからです。今後も新型コロナウィルスの影響が続くことを前提としたときに、まずはお互いのことを知るための場を全社的に設定するタイミングだと感じました。
Baseconnectは元々原則オフィス出社というスタイルをとっていて実際に相手の顔を見て会話をすることや、業務以外での雑談の時間を大切にしています。私自身この考えにとても共感しています。
個人的な感覚になるのですがオンライン上ではどうしても「場の空気の共有」や「話し手の想いや熱量」を伝えることが難しいと感じています。視覚と聴覚情報しか使えないので、人間の五感を全て活用することが出来ないからかもしれません。改めて同じ場で同じ体験を共有することの重要性を実感しました。体験を共有することって実はすごく大切なんですよね。
オンライン画面越しに会話をしているとどうしても議論や方向性が合っているか合っていないかの話だけで終わってしまうのですが、役割や日々向き合う課題が異なる中で、メンバーがバラバラにならず同じ方向を見続けるには、情報として事業方針を伝達したら良いのではなく、五感の全てを使って話し手の「想い」と「熱量」を伝えられる対面でのコミュニケーションの方が適切だと思いました。
部署間を超えたコミュニケーションの機会を作り出す
今回の社内イベントでは、各コンテンツに実際にその場で会って話せる機会だからこその狙いを盛り込みました。
実際に開催されたイベント内容と狙い
新メンバーの他己紹介・・・通常の自己紹介ではなく、入社してから勤務時間があったからこそ出来る他己紹介のスタイルを採用。近くで一緒に働いたメンバーからヒアリングをして新メンバーのパーソナリティに近い部分や、意外な一面を他のメンバーにも知ってもらうことが狙い。話のきっかけとなる糸口を作る。
シャッフル席替え・・・出来るだけ普段業務上で関わる機会が少ないメンバー同士が組み合わさるように全て運営チーム側で座席を指定。自然とチームを超えたコミュニケーションを促すのが狙い。
ビンゴ大会・・・参加したメンバー全員が何かしらの景品を持ち帰れるビンゴを開催。景品には業務で使えるものから面白いネタ系のものまで幅広く取り入れた。メンバーに対する労いの気持ちを込めながら、景品を通して話題のきっかけ作りになることが狙い。
会場レイアウト・・・豪華なケータリングやスライド、動画が会場に入った瞬間から目に飛び込んでくるようなレイアウトを設定。日常の業務からは切り離して、同じ空間を共有してもらう体験の場として演出することが狙い。
また、運営メンバーとしてコーポレートチームにも協力をお願いすることに。理由は普段、縁の下の力持ちのような業務を担うことが多くなかなか他のチームの前に立つ機会が少ないコーポレートメンバーが全面的に前に立てるような機会にしたいと思ったからです。
もちろん感染症対策も徹底し参加者に安心して楽しい時間を過ごしてもらえるよう工夫をしていました。
感染症対策について
- 座席を指定した上での全員着座、飲食時以外のマスク着用・アルコール消毒の義務付け、充分な換気。
- ケータリング(飲食物)は全て個包装で、自分で取りに行って座席で食べるスタイル。
特にケータリングの業者の方の全面協力もあり、料理を全て個包装にして頂けたことは感染対策として大きかったと思います。

場作りには細部までこだわる
イベントを実施してみて一番嬉しかったことは活発なコミュニケーションが生まれ、普段の業務では見られないメンバーの笑顔がたくさん飛びかっていたことです。私は全テーブルを見て回りながら、言いたいことがありそうなメンバーがいたらマイクを渡したり話せていないメンバーがいたら声をかけるなど、オーガナイザーのような役割を担っていました。
オーガナイズという言葉には「組織する」という意味があるのですがイベントの空間をどう編成するのか、客観的な視点でマネジメントすることで場の価値を最大限に上げたいと思っていました。
実は開催日直前にAWSの障害が発生したことで、対応に追われ「中止にした方がいいのではないか?」という声もあがったんです。でも今回のイベントの趣旨はあくまでも新メンバーの歓迎と社内コミュニケーションの場だったので、やらないという選択肢は私の中にありませんでした。そこで、開始時間を1時間遅らせることで開催する方向で調節することにしました。
イベントの開催には主催者の熱量も重要になると思います。私にとってあらゆる熱量の源は、会社のことが好きで一緒に働くメンバーのことを仲間として大切に思う気持ちです。一緒に関わる以上は楽しく仕事をして欲しいと思っていますし、人生において意味のある時間を共に過ごしたいと考えています。
そのため、新型コロナウィルスの影響を受けて全社的にリモート勤務になっても、直前にトラブルが発生したとしても、あえて実際に会って話す場を設けて同じ時間・空間・体験を共に過ごしお互いの想いや熱量を共有することに意義があると思っていました。
最終的には参加者から「良い時間だった。」という声がたくさんあがったので、ほっとしています。
終了後のアンケートでも、
・他己紹介は面白かったです。入社直ぐではないこのタイミングだからこそできる紹介で新鮮でした。
・楽しかったです!ぜひコーポレート主催で定期的な開催をお願いします!
・ケータリングなども感染対策に力を入れており安心して食べられました!
・会場入場時に検温やアルコール消毒の徹底を行えれば多少密でも安心して参加できると感じました。
などの言葉をもらうことが出来ました。
参加者から良い声をもらえたのは、運営メンバーと一緒に企画段階からどういう価値や感情を持ち帰ってもらうかまでこだわって設計が出来たからだと感じています。
ビンゴの景品もただ選ぶのではなく「すごく大きなEnterキーがあったらエンジニアチームが面白がってくれるかもしれない。」「これがあったら業務が楽しくなりそう。」など想像しながら選んでいました。
今後も実際に会ってお互いに対話する機会を積極的に設けて、仕事に戻った後も価値に繋がるような良質なコミュニケーションの時間を提供していけたらと思います。