Baseconnectの「今」と「メンバー」を伝えるブログ。

「データに付加価値をつけるという過程の面白さ」私が考えるデータ製造とは

Baseconnectでは、おそらく世界初の「データを製造する」という事業に取り組んでいます。世界初が故に「データを製造する」ってどういうことなのか、よく分からないですよね。私は「Data Manufacturing(データ製造)チーム」といって、まさにデータを製造するチームに所属しているのですが、この取り組みに共感してくれる人を少しでも増やすため、文章に残しておこうと思います。

高木 翔太

Data Manufacturingチーム

京都大学・京都大学大学院を卒業後、サントリーホールディングス株式会社に新卒入社。工場所属のエンジニアとして、設備設計や省エネ活動などを遂行。その後同社にて採用担当となり、過去最大数の内定者確保を達成。同時に企業のダイバーシティ推進業務なども担う。2019年にBaseconnectに入社。

そもそもデータ製造とは何をしているのか

まずはじめにBaseconnectは「世界中のデータを繋げることでダイレクトに必要な情報にアクセスできる世界を作る」ことをミッションに掲げていて、ミッションの達成に向け現在は「法人営業向けの企業情報データベース」を提供しています。私が所属するチームは「Data Manufacturing(データ製造)チーム」といって、データベースの作成を担っています。まさにサービスの根幹です。

この「データベースの作成」を「製造」と捉えているんです。私は前職は飲料系の製造業に関わっていたので、前職での経験と現職の経験を踏まえて、製造とは何か、データ製造とは何か、自分なりの考えをまとめてみました。

製造とは

「製造」とは、原材料を加工し付加価値をつけ、製品にすることだと考えています。
*辞書では、原材料に手を加えて製品にすることという表現になっています。(大辞林 第3版)
缶コーヒーを例にフローにすると、以下の図のようなイメージです。

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缶コーヒーを作るためには、まず原料(缶、コーヒー豆など)を仕入れる必要があります。原料を仕入れた段階では、原料以上の価値はありません。もちろん原料は原料で求める人はいるので売ろうと思えば売れます。ですがそのような商売は「流通」だと「卸売」と言われるものです。「製造」と「流通」などとの大きな違いは“加工して付加価値を付与するかどうか”です。

焙煎されたコーヒー豆は、粉砕→抽出という原料の加工により、初めてコーヒーになります。コーヒー豆だけでは(ほとんどの人にとって)価値は小さく、売ろうとしたときの規模は小さくなってしまいます。なので、より大きな経済規模で戦うために、コーヒー豆→コーヒーといったかたちで付加価値をつけています。

更に、製品独自の味わいやイメージを作るために砂糖や乳をブレンドします。甘さ控えめなコーヒーが好きな人もいれば、乳たっぷりのクリーミーなコーヒーが好きな人もいます。こういった味の違いも“付加価値”たり得ます。このようにして出来上がったコーヒーは、容器に充填され、箱詰めされるなどの加工を繰り返し、最終製品に仕上げられます。

ただ、製品としては加工しただけで終わりにはできません。お客様にお渡しできる状態であることを検品・検査によって確認します。お客様が使用される前に変質しないよう、きちんと殺菌できているか、味わいは適正か、製品として許容できる範囲のばらつきかなどの観点で検査していきます。

方法もタイミングも様々です。人が最終判断するものもあれば、機械で自動測定するものもあります。全数検査するものもあれば、抜き出しのチェックにするものもあります。
どのような検査であれ不良であるものはすべて排除されていきます。このようにして最終工程まで行き着いたものが初めて製品となります。原料であった頃とはまるで異なる姿形になっているはずです。原料よりも加工・検査の分だけ価値が高まっており、付加価値が付与されています。この一連の流れを「製造」と呼ぶのだと考えています。

製造でのフレームワーク 「QCD」とは

ただ漠然と製品を作り、市場に出せば儲かるのでしょうか?であれば誰でも商売に成功できるでしょう。何も考えず製品を作るなんてことはないはずで、誰もが理想の製品を目指すはずです。どのような枠組みで製品を認識し、各製品のポジションを明確にすればいいでしょうか?

話を缶コーヒーに戻してみます。誰もが理想の缶コーヒーを作りたいと考えます。ただ、理想の缶コーヒーは人それぞれです。

  • 少々味は落ちてもいいから安い方がいい。
  • 喫茶店で飲むレベルの味がいい。多少高くても構わない。
  • とにかくいつでも同じ味でどこでも買うことができるのが大事。

などなど、缶コーヒーの理想像はそれこそ無限にあります。

じゃあ自分たちはどんな缶コーヒーを作るのか。お客様はもちろんのこと、仲間内であっても共通認識を形成する必要があります。こういったややこしい話になると、ビジネスの世界ではフレームワークを持ち出して議論することが多いと思うのですが、特に製造業では「QCD」というフレームワークを用いて語られています。

QCDとは
Q:Quality(品質)C:Cost(コスト)D:Delivery(納期)の頭文字を並べたもの。

<定番商品>

  • Q:Deliveryを優先し、特殊な原料は使わない。Qualityはやや低め〜中間程度に抑える。
  • C:他の缶コーヒーと比較してやや低め〜平均的な金額におさめる。[原価 y_1 円]
  • D:絶対に品切れさせない。流通量の確保のため、生産量を多くする。[生産量 z_1 本/月]

<プレミアムな缶コーヒー>

  • Q:豆からこだわる。条件管理は定番商品よりも厳しい。
  • C:他の缶コーヒーよりも、販売価格が高くなっても良い。[原価 y_2 円]
  • D:プレミアム感を出すため、限定品扱いとし、流通量は少なめにする。[生産量 z_2 本/月]

すごく単純化したコンセプトベースであれば、こんなイメージかと思います。

当然、定番商品よりもプレミアム商品の方が原価は高くy_1 < y_2 ですし、一定期間内での生産量は定番商品の方が多くz_1 > z_2 になるはずです。

缶コーヒー以外だと、ガリガリ君とハーゲンダッツなんかの比較も面白いです。

<ガリガリ君>

  • Q:外はサクサク、中はガリガリ、安心・安全。
  • C:70円/本
  • D:約5億本/年

<ハーゲンダッツ>

  • Q:完璧なおいしさを目指す、高級感。
  • C:295円/個
  • D:(不明)

ガリガリ君とハーゲンダッツ、比較するとそれぞれの戦略の違いが際立ちますね。
QCDはあくまで“どのバランスで戦うか”ということを考えるためのものです。

Q・C・Dそれぞれの最高値を突き詰めた結果、最適点に落ち着くものではありません。あくまで、どこをターゲットにするか、それに対して何が最良だと考えるかの結果として、QCDのバランスの最適値を見出していく必要があります。

マーケティングに関わったことのある方であればSTPなんかをイメージしていただけると近いかもしれません。

※ちなみに実際の生産現場だと、Qualityを表す物性値(pHとか、糖度とか)を数値で管理します。生産の現場担当者はCost、Deliveryの範囲内でQualityの向上、バラツキの抑制に努めます。下記サイトが非常にわかりやすかったので、興味がある方は読んでみると良いかもしれないです。
生産管理の「QCD」とは?プロセス改善で向上する企業の提供価値

「データ」をどのように製造しているのか

Baseconnectのデータベース作成は、下図のようなフローで行っています。

f:id:yuri_terao:20210114162415p:plainインターネットからは様々な情報を取得できます。でも、情報が多すぎるあまり

  • どれを使っていいか分からない
  • 正しい情報・欲しい情報にたどり着くためには、意外とスキル試行錯誤が必要

みたいな状況になっています。

我々は、インターネット上に存在するこれらの雑多な情報を集め、加工し、整理してデータベースとして提供しています。言い換えると、インターネット上の雑多な情報を原料として、構造化という加工や整合性の確認をすることにより付加価値を付与し、データベースというかたちにしているんです。

Baseconnectが存在することで、インターネット上に散らばった情報は整理され、誰でも使いやすくなるはずです。ここに我々の価値があります。

まとめると「データを製造する」とは、「データという原料を加工し、散らばった情報を繋げ整理するという付加価値を付与して製品にする」ことだと言えるのではないでしょうか。Baseconnectは、世界中のデータを繋ぎ合わせ、構造化して整理したいと考えています。この目標をQCDっぽくまとめてみるとこんな感じでしょうか。

  • Q:誰でも安心して使うことができる。知識のない人でも、知識をより深く得ることができる。最新の情報がタイムリーに正確に手に入る。
  • C:誰でも手が出せる。最安ではないが、リッチなものよりも圧倒的な価格優位性がある。
  • D:必要な量を必要なときに簡単に取得できる。

データを製造するってのは壮大ですね。こんなどでかい仕事、人間1人にはできません。たくさんの方にいろいろな形で協力いただき実現しようとしています。

最後に、「データの製造業って、具体的にはどんな仕事をやってんの?」というところに触れたいと思います。

Baseconnectでの業務としては、下記のようなものがあります。

  • 製品仕様の検討(QCDの設定)
  • 加工・検品のオペレーション構築(誰が、何をする)
  • 実際のオペレーションの運用、加工・検品
  • オペレーションの改善
  • 作業をしていただく方たちのマネジメント 

などなど。

いずれも製造業に携わっていた方には馴染み深い言葉だと思います。

実際、オペレーションの構築・改善をする際には、4M(Man、Machine、Material、Method)条件を整理し、最適解を見つける必要があります。
そういった検討内容の具体例を挙げます。

  • Man:作業者の選定、教育体制の構築
  • Machine:作業ツールの作成・改善
  • Material:適切な参考情報の収集、取捨選択
  • Method:作業フロー・マニュアルの改善

製造現場における改善とほとんど同じ内容です。
製造業で生産管理をやられていたり、オペレーション設計を行っていた方であれば比較的馴染みやすいのではないかと思います。

とはいえまだまだ始まったばかりの事業です。
これからも凄まじい勢いで製品仕様を詰めなければならないですし、オペレーションも改善していく必要があります。

製造業の考え方を適用できますが、PDCAのサイクルは一般的な製造業よりも何倍も速くしないといけません。ベンチャー特有の、事業環境の変化にスピード感を持って対応する必要があります。またハードウェアと違って、過去の制作物も常に作業対象に入ります。
「これまでやってきたこと」と「これからやること」の両方を見据えながら、データというものの価値を高める方策を見出す必要があります。

これは愚直にトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、定量的に計ることが難しい「データの価値」を自分たちで作っていく作業です。もしかしたら、製造業でなくとも大規模に人が協業するシステムの運用(銀行とか)に携わっていたり、たくさんの人がいるチームの運営をしてきた方のご経験が発揮される場面があるのかもしれません。

今回は、前人未到の「データの製造業」というものをより多くの方に知ってもらいたい、あわよくば実現に向けて挑戦に加わっていただきたい、そんな気持ちでこの文章を書きました。「面白そう、もっと話を聞いてみたい」など、興味を持って頂けましたら幸いです。